
五山送り火(ござんおくりび)
20時ちょうど、東山の闇に「大」の字が浮かぶ。街の灯りがすっと落ちて、川べりの数万人が、同じ火を見上げて黙る。京都の夏が、静かに終わっていく夜です。
このページでわかること
- 五山送り火が「祭り」ではなく精霊送りである理由と、編集部5指標による評価
- 2026年8月16日の5つの火の点火時刻(京都市公式で確認)と燃焼時間
- 京都市が公式に案内する、各送り火のよく見える場所と時間帯
- 編集部おすすめの過ごし方5選と、あわせて回りたい近くの見どころ
- 送り火の夜に泊まりたいエリアの宿の料金比較(楽天、じゃらん、Booking.com)
五山送り火ってどんな行事?
まず、これは花火大会ではありません。それを知っているかどうかで、この夜の見え方がまるで変わります。8月16日の夜、京都の街ではネオンや屋外灯を一時的に消す協力が呼びかけられます。消灯時間は19時50分から20時50分までの1時間。街がすっと暗くなり、人々が川べりや通りに出て、山のほうを向いて待つ。そして20時ちょうど、東山の如意ヶ嶽の斜面に、火がひとつ、またひとつと灯りはじめ、やがて巨大な「大」の字が闇に浮かび上がります。周りから歓声は上がりません。多くの人が、ただ黙って見ています。それは、この火がお盆に帰ってきた精霊を送り返すための火だからです。誰かの手が、誰かの祈りを乗せて焚いている。大文字の火床には、参拝者が名前や願いを書いた護摩木がくべられます。点火前の19時、山上の弘法大師堂で灯明がともされ、般若心経が唱えられ、その火が親火に移されて、合図とともに一斉に点火される。つまり、あの山肌の光の一粒一粒は、誰かの祈りそのものなのです。火は5つあります。20時00分の大文字を皮切りに、20時05分に松ケ崎の妙法、20時10分に西賀茂の船形、20時15分に大北山の左大文字、そして20時20分に嵯峨の鳥居形。5分おきに、京都をぐるりと囲むように順番に灯り、それぞれ約30分ほど燃え続けます。この5つはすべて京都市登録無形民俗文化財です。観覧は無料。特別な席もチケットも要りません。ただ、その夜、京都のどこかで空を見上げていればいい。祇園祭で始まった京都の夏が、この火とともに静かに終わっていきます。
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基本情報
| 名称 | 京都五山送り火(ござんおくりび)/すべて京都市登録無形民俗文化財 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年8月16日(日) |
| 点火時刻 | 大文字 20:00/妙法 20:05/船形 20:10/左大文字 20:15/鳥居形 20:20京都市公式の案内を見る › |
| 燃焼時間 | 各山とも約30分間。気象条件によっては点火時刻を変更する場合があります |
| 料金 | 観覧無料(チケット・観覧席の必要なし) |
| 場所 | 大文字=東山 如意ヶ嶽/妙法=松ケ崎/船形=西賀茂/左大文字=大北山/鳥居形=嵯峨 曼荼羅山 |
| 消灯の協力 | 8月16日19:50〜20:50の1時間、ネオン灯・屋外灯・広告灯の一時消灯に協力が呼びかけられます(山科区・伏見区を除く) |
| 注意 | 点火当日は各山への登山が禁止されています(山道に照明設備がないため) |
行き方・観覧場所
五山送り火に「会場」はありません。京都市が公式に案内する、各送り火のよく見える場所は次のとおりです。大文字(20:00〜20:30頃)は鴨川・賀茂川付近の丸太町橋から御薗橋まで、および京都御苑。妙(20:05〜20:35頃)は北山通の京都ノートルダム女子大学付近、法は高野川付近の出町柳より上流と北山通の松ヶ崎駅より東。船形(20:10〜20:40頃)は賀茂川付近の北山大橋から西賀茂橋付近。左大文字(20:15〜20:45頃)は西大路通の円町から金閣寺。鳥居形(20:20〜20:50頃)は渡月橋付近、松尾橋付近、広沢池など。市内のホテル屋上からも眺められます。当日は交通も人出も集中するので、車ではなく地下鉄や市バス、徒歩で動くのが確実です。京都に前後泊して丹波や琵琶湖まで足を延ばすならレンタカーの最安値比較もどうぞ。
送り火の夜は、車を置いていく
8月16日は市内全域に人出が集中し、鴨川沿いも北山通も大混雑します。当日は地下鉄・市バス・徒歩が正解です。ただし前後の日に丹波や琵琶湖へ足を延ばすなら車が便利。お盆は繁忙期なので早めの確保を。














季節ごとの楽しみ方
春(3〜5月)
送り火は行われませんが、大文字山は日帰り登山の定番です。銀閣寺そばの登山口から火床まで登れば、京都市街を一望できます。夏に見上げる場所に、自分の足で立てる季節です。
夏(6〜9月)
8月16日、20:00の大文字から5分おきに5つの火が灯る一夜。祇園祭で始まり、千日詣りを経て、この送り火で京都の夏が終わります。この一日のために京都へ行く価値があります。
秋(10〜11月)
紅葉に染まる大文字山を登り、火床から色づいた京都盆地を見下ろせます。8月にあの火が灯っていた斜面に立つと、送り火の規模が実感として分かります。
冬(12〜2月)
空気が澄み、山の輪郭がくっきりと浮かぶ季節。火のない大文字の火床の跡が、遠くからでもはっきり見えます。何もない斜面を眺めながら、夏の夜を思い出すのも一興です。
編集部おすすめの過ごし方 5選

1. 鴨川の堤防で、20時ちょうどを待つ
京都市公式が案内する大文字の観覧地は、鴨川・賀茂川付近の丸太町橋から御薗橋まで、そして京都御苑。19時50分に街の灯が落ち、20時に火が灯る。あの10分間の静けさが、この夜のいちばんの体験です。

2. 5分おきに移動せず、ひとつに腰を据える
5つ全部を追いかけたくなりますが、5分間隔で市内を横断するのは不可能です。ひとつの火を、点火から燃え尽きるまでの約30分、最後まで見届ける。そのほうが、はるかに深く記憶に残ります。

3. 嵐山で、最後の鳥居形を見送る
20時20分、5つ目の鳥居形。公式の観覧地は渡月橋付近、松尾橋付近、広沢池です。すべての火の締めくくりを、昼は舟や竹林で過ごした嵐山で見上げる。夏の最後の一頁にふさわしい場所です。

4. 護摩木を納めてから、その火を見る
大文字の護摩木は、銀閣寺門前の浄土院などで受付されます(受付日時は年により異なるため公式で確認を)。自分が書いた木が焚かれていると思って見上げる火は、ただの観光ではなくなります。

5. 昼は千日詣り、夜は送り火に
8月16日は清水寺の千日詣りの最終日でもあります。昼に本堂の内々陣で手を合わせ、夜に精霊を送る火を見上げる。祈りで始まり祈りで終わる一日は、この日にしか組めません。
あわせて回りたい、近くの見どころ

祇園祭
7月1日から31日までの1カ月にわたる、京都最大の祭り。前祭の山鉾巡行は7月17日、後祭は7月24日です。祇園祭で始まり五山送り火で終わる。この2つが京都の夏の始まりと終わりを挟んでいます。

清水寺 千日詣り
8月9日から16日、一日の参拝が千日分になるとされる8日間。最終日は送り火と同じ夜で、2026年は8月14日〜16日に夜間特別拝観(21:00受付終了)も重なります。昼と夜で一日が完結します。

鴨川デルタ
賀茂川と高野川が出合う三角州。無料・常時開放で、亀や千鳥の飛び石で川遊びができます。高野川付近の出町柳より上流は「法」の公式観覧地。送り火の前の夕涼みに最適です。

鴨川納涼床
鴨川西岸に約90店が床を張り出す夏の風物詩で、2026年の営業は5月1日〜10月15日。送り火の夜は大文字が見える店もあり、予約は激戦です。早めの手配を。

嵐山の鵜飼
7月1日から9月23日の夜、大堰川で行われる伝統漁。ただし8月16日だけは事前予約のみの運航です。同じ嵯峨の夜に鳥居形が20:20に灯るため、この日は予定の組み方に注意が要ります。
近くの人気飲食店
大文字の公式観覧地である鴨川堤防のすぐそば、出町柳には、京都の人が行列してでも買う和菓子の名店があります。送り火を待つ時間のお供にどうぞ。
- 🍡出町ふたば和菓子・豆餅京都市上京区/1899年(明治32年)創業・鴨川デルタから徒歩5〜7分📍Googleマップで現在地からのルートを見る
1899年創業、連日行列ができる和菓子店。看板の「名代豆餅」は、柔らかな羽二重餅に赤エンドウ豆の塩気が効いた逸品。買って鴨川デルタで頬張るのが、地元の人の楽しみ方です。
- 🍲鴨川納涼床の各店京料理・川床二条〜五条の鴨川右岸に約90店/2026年は5月1日〜10月15日📍Googleマップで現在地からのルートを見る
鴨川西岸に約90店が床を張り出します。送り火の夜は大文字が見える席のある店もありますが、その分予約は激戦。狙うなら数カ月前からの手配が必要です。
※営業時間、定休日は季節により変動することがあります。訪問前に最新情報をご確認ください。
撮影のコツ
遠く、暗く、そして動かない。花火とは正反対の被写体です。だからこそ、慌てずに構えれば誰でも撮れます。
- 📷火は動かない。三脚があれば勝ち
送り火は約30分燃え続け、しかも形は変わりません。三脚に据えて低感度で長めに露光すれば、火床のひとつひとつまで写ります。手持ちで頑張るより、固定できるかどうかがすべてです。
- 🏙️街の灯りを画面下に入れる
火だけを大きく撮ると、ただの光の点になります。街並みや川面を画面の下に入れると、京都という街の上にこの火が灯っているという構図になり、写真が物語を持ちはじめます。
このエリアの宿(料金比較)
8月16日、20時20分に鳥居形が燃え尽きてから、数万人が一斉に動き出します。この夜ばかりは、歩いて帰れる距離に宿があるかどうかが、体験の質を決めます。市内のホテル屋上から眺められる宿もあり、送り火の夜は一年で最も予約が集中する一日です。

京都市内中心部・鴨川沿い
送り火の夜に泊まる滞在向き※上記は表示イメージのサンプル価格です。実際の料金・プラン・空室状況は各予約サイトの最新情報をご確認ください。
あると助かるアイテム
暗い場所に立って、約1時間、火を待って見上げる。それだけの夜だからこそ、足元と暑さ対策の有無が体験を左右します。
虫除けスプレー観覧地の多くは鴨川や高野川の川べり。夏の夜、水辺、そして立ち止まって1時間となれば、蚊にとって最高の条件です。20時の点火の瞬間に足首を掻いていては、あまりにもったいない。
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水筒8月の京都は日が落ちても蒸し暑く、観覧地の周辺は自動販売機もコンビニも売り切れになりがちです。冷たい飲み物を持っていれば、場所取りの1時間が苦行になりません。
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歩きやすいスニーカー河川敷は舗装されておらず、しかも夜は足元が見えません。終了後は数万人が一斉に動き、駅まで歩くことも珍しくない夜です。浴衣に下駄は絵になりますが、無理のない靴を選ぶのが正解です。
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懐中電灯19:50から街の屋外灯が一時消灯されるため、周囲は本当に暗くなります。京都市も夜間の河川敷は足元が暗く転落の危険があると呼びかけています。小さなライトひとつが安全を大きく変えます。
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モバイルバッテリー暗所での撮影は電池を一気に減らします。しかも当日は人が集中して通信も混み合いがち。終了後、数万人のなかで待ち合わせや経路検索をするのにスマホが切れると本当に困ります。
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よくあるご質問(FAQ)
2026年の五山送り火はいつ、何時に点火されますか。
2026年8月16日(日)です。大文字が20:00、妙法が20:05、船形が20:10、左大文字が20:15、鳥居形が20:20の順に点火され、各山とも約30分間燃えます。気象条件によっては点火時刻が変更される場合があります。
五山送り火の観覧は有料ですか。
観覧無料です。チケットや観覧席は必要ありません。京都市が公式に案内する観覧地に立てば、誰でも見ることができます。
五山送り火はどこから見るのがおすすめですか。
京都市公式の案内では、大文字は鴨川・賀茂川付近(丸太町橋〜御薗橋)と京都御苑、妙は北山通(京都ノートルダム女子大学付近)、法は高野川付近(出町柳より上流)、船形は賀茂川付近(北山大橋〜西賀茂橋付近)、左大文字は西大路通(円町〜金閣寺)、鳥居形は渡月橋付近・松尾橋付近・広沢池などです。
送り火の日に大文字山へ登れますか。
登れません。点火当日は円滑な点火作業と危険防止のため、各山への登山が禁止されています。山道に照明設備がないためです。登山を楽しみたい場合は、送り火の日以外に訪れてください。
五山送り火は5つ全部を1カ所から見られますか。
5つは市内を囲むように離れているため、1カ所からすべてを見るのは困難です。5分間隔で移動するのも現実的ではないので、ひとつの火に腰を据えて、約30分の燃焼を最後まで見届けるのがおすすめです。
五山送り火は、京都 夏の2泊3日モデルコースを8月16日に合わせて組むなら、最終日の夜のクライマックス。全行程の回り方はモデルコースでどうぞ。
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