
十和田神社
乙女の像へ続く道を、ふと脇へ逸れる。杉木立の奥で待っているのは、十和田湖の水神信仰を今に伝える社です。
このページでわかること
- 祭神と、明治の神仏分離まで水神信仰の象徴だった歴史、編集部5指標による評価
- 坂上田村麻呂の創建説と南祖坊の伝説、2つの由緒が並び立つ理由
- 「開運の小径」の分岐から参道へ入る道順と、休屋バス停からの歩き方
- 占場へ降りる鉄の梯子が現在は通行禁止であること(無駄足を防ぐために)
- 十和田湖畔の宿の料金比較(楽天、じゃらん、Booking.com)
十和田神社ってどんな神社?
十和田湖の休屋、みやげ物屋と食堂が並ぶ賑やかな一角を抜け、中山崎の付け根へ向かって奥へ入っていくと、人の声がゆっくりと背中側へ遠ざかっていきます。乙女の像へ至る道程で「開運の小径」と名づけられた分岐に入ると、そこからが十和田神社の参道です。整然とした杉木立が両側から迫り、光は幹の隙間で細く裂かれて足元に落ちてくる。ほんの数分前まで観光地の真ん中にいたはずなのに、空気の密度がはっきりと変わるのがわかります。手水舎は竜神をかたどっていて、この社が何を祀ってきた場所なのかを、案内板より先に教えてくれます。祭神は日本武尊。けれど明治の神仏分離までは、この社は東北地方に色濃く残る水神信仰の象徴でした。湖に生きる人々が、湖そのものに手を合わせてきた場所だということです。由緒は、実はひとつに定まっていません。ひとつは大同2年(807年)、征夷大将軍・坂上田村麻呂が東征のおりに湖が荒れて渡れず、祠を建てて祈願し、イカダを組んで渡ったという創建説。もうひとつは、熊野で修行した南祖坊が鉄の草鞋と錫杖を神から授かり、履きつぶしていった百足の草鞋がこの十和田湖畔でついに尽きたという説で、南祖坊は八郎太郎を退治したとも伝えられます。どちらか一方が正しいと言い切れる材料を、編集部は持っていません。そしておそらく、言い切らないことにこそ意味があります。史実の英雄と山伏の伝説が、同じ杉木立の下で千年以上ほどけずに絡み合っている、その状態のまま今日まで来ているのがこの神社だからです。社殿の奥、山中へ150mほど入った頂きの平場から、鉄のはしごをつたって降りたところには「占場」があります。ただし、その梯子は現在通行禁止です。降りることはできません。それでも杉の幹に手をついて立ち止まると、この湖の底に何かがいると信じた人たちが、確かにここを歩いていたことだけは、はっきりと伝わってきます。
フォトギャラリー




基本情報
| 名称 | 十和田神社 |
|---|---|
| 所在地 | 青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋(中山崎の付け根、休屋の奥) |
| 料金 | 編集部が確認した十和田湖国立公園協会の公式ページには、拝観料の記載がありません。現地の案内でご確認ください |
| 営業時間 | 同公式ページに参拝時間の記載はありません。山中へ続く参道を歩くため、日没後の訪問は避けてください |
| 休館日 | 同公式ページに記載はありません |
| 駐車場 | 同公式ページに神社専用駐車場の記載はありません。休屋の集落側から歩いて向かう形になります |
| アクセス | 休屋バス停から徒歩15分ほど。乙女の像に至る道程で「開運の小径」と名づけられた分岐に入ると、十和田神社の参道へ続きます |
| 所要時間の目安 | 休屋からの往復と参拝で30分〜1時間程度(編集部の目安。参道を味わって歩くならもう少し) |
※所在地、祭神、由緒、参道、占場に関する記述は十和田湖国立公園協会の公式ページ(towadako.or.jp)の掲載内容に基づく編集部確認値です。拝観料、参拝時間、休み、駐車場は同ページに記載がないため、本記事では断定していません。最新情報は現地の案内および公式サイトでご確認ください。
行き方・駐車場
起点は十和田湖畔の休屋です。バス停から歩き出し、乙女の像へ向かう道をたどっていくと、途中に「開運の小径」と名づけられた分岐があります。ここを選ぶと、そのまま十和田神社の参道へ入っていきます。休屋から徒歩15分ほど。距離としては短いのに、杉木立に入った瞬間から、歩いている場所の性質が変わります。神社専用の駐車場については編集部が確認した公式ページに記載がないため、車で十和田湖へ来る場合も、休屋側に停めて歩く前提で組んでおくと安全です。八甲田や奥入瀬渓流とつなげて一日で回るなら、レンタカーの最安値比較もあわせてどうぞ。
十和田湖は、車があるほど自由になる
十和田神社そのものは休屋から徒歩で完結します。ただし十和田湖畔は公共交通の便数が限られ、奥入瀬渓流や八甲田へ抜けるとなると車が要ります。参道の静けさを朝いちばんで味わってから北へ抜ける、そんな組み方ができるのはレンタカーならではです。














季節ごとの楽しみ方
春(3〜5月)
雪が消えていくにつれ、杉木立の足元に光が戻ってくる季節。観光客がまだ増えきらない時期で、参道を独り占めできる確率がいちばん高いのもこの頃です。
夏(6〜9月)
ギャラリー1枚目のような、緑が満ちた参道になります。杉が日差しを遮るので、湖畔を歩いてきた体には参道に入った瞬間の涼しさがはっきり効きます。
秋(10〜11月)
十和田湖から奥入瀬渓流へと紅葉が連なる時期。休屋は一年で最も混み合いますが、参道へ一歩入ればその喧騒がすっと途切れます。
冬(12〜2月)
ギャラリー2〜4枚目のとおり、鳥居も狛犬も雪に埋もれます。息をのむ静けさと引き換えに足元は厳しく、参道の階段は雪の下。冬に向かうなら装備と天候の確認を必ず。
編集部おすすめの過ごし方 5選

1. 「開運の小径」の分岐で、一度立ち止まる
乙女の像へ向かう人の流れから、ここで一人だけ外れます。分岐を折れて数十歩、杉木立に入った途端に音が減る。その落差を体で確かめるところから、この参拝は始まります。

2. 手水舎の竜神を、正面から見る
この社の手水舎は竜神をかたどっています。祭神は日本武尊ですが、明治の神仏分離まで水神信仰の象徴だったという歴史が、この一点にそのまま残っています。案内板を読む前に、まず造形を見てください。

3. 拝殿の軒を、斜めから見上げる
正面からだと平たく見える社殿も、斜めに回り込むと軒の彫刻が層になって重なります。深く彫り込まれた影が、山の光の中でいちばん立体的に見える角度を探してみてください。

4. 二つの由緒を、両方かかえたまま歩く
坂上田村麻呂か、南祖坊か。どちらかに決めてしまうと、この場所は途端に痩せます。史実の将軍と山伏の伝説が同じ杉木立の下で千年ほどけずにいる、その居心地の悪さごと味わうのが正解です。

5. 占場へは降りられない、と知った上で来る
山中へ150mほど入った頂きの平場から鉄のはしごをつたって降りた先が占場ですが、その梯子は現在通行禁止です。降りられません。それを承知で来れば、がっかりする代わりに、届かない場所があるという事実そのものを持ち帰れます。
あわせて回りたい、近くの見どころ

乙女の像
十和田神社の参道は、この乙女の像へ至る道程の分岐から始まります。つまり順路としては地続き。像を見てから神社へ入るか、神社を先に済ませて湖畔へ戻るか、その順番だけで一日の印象が変わります。

十和田湖遊覧船
神社で湖の水神に手を合わせたら、次はその湖の上へ。発着場は同じ休屋にあります。杉木立の底から一転、遮るもののない湖面へ出る落差は、この順番で回った人だけのものです。運航期間と時刻は季節で変わるため、公式でご確認を。
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近くの人気飲食店
参道を往復すると、思っていたより腹が減ります。十和田湖畔の食堂といえば、この湖で獲れるヒメマス。休屋の周辺には、それを食べさせてくれる店があります。
かえで食堂食堂十和田市その他/ヒメマス料理を出す食堂📍Googleマップで現在地からのルートを見る十和田湖のヒメマスは、この湖の水そのものを食べているような魚です。杉木立の底で湖の神に手を合わせたあとに口へ運ぶと、信仰と食卓が同じ水でつながっていたことに、遅れて気づきます。
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十和田食堂食堂十和田市その他/ヒメマス、バラ焼きが名物📍Googleマップで現在地からのルートを見るヒメマスと十和田バラ焼き、湖と街の名物が一枚の品書きに同居しています。参拝のあとに湖のものを、翌日に十和田市街へ抜けるなら牛と玉ねぎを。旅の順番をそのまま食べられる店です。
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※上記2店の店舗写真は編集部で用意できていないため、十和田神社の写真を掲載しています。営業時間、定休日は季節により変動することがあります。訪問前に最新情報をご確認ください。
参道の歩き方
十和田神社は、社殿の前で手を合わせて終わる場所ではありません。分岐を折れてから戻ってくるまでの往復すべてが、この神社の体験です。
杉木立の参道整然と並んだ杉が両側から迫り、光が幹の隙間で細く裂かれます。休屋の賑わいから、わずか十数分でここへ来られてしまうことのほうが、むしろ不思議に思えてきます。
竜神の手水舎と社殿手水舎は竜神をかたどっています。祭神は日本武尊。ただし明治の神仏分離までは、東北地方に色濃く残る水神信仰の象徴でした。その二重性が、境内のあちこちに残っています。
占場(現在、梯子は通行禁止)山中へ150mほど入った頂きの平場から、鉄のはしごをつたって降りたところが占場です。その梯子は現在通行禁止で、降りることはできません。行ける前提で予定を組まないでください。
このエリアの宿(料金比較)
十和田湖畔に泊まる最大の理由は、朝です。日中の休屋は観光バスが着けば一気に人が増えますが、宿を出てすぐ参道へ入れる人だけは、まだ誰も踏んでいない杉木立の朝に立ち会えます。八甲田、十和田湖、奥入瀬をまとめて回る拠点としても、このエリアの宿は理にかなっています。

十和田湖・八甲田・奥入瀬エリア
休屋・湖畔周辺※上記は表示イメージのサンプル価格です。実際の料金・プラン・空室状況は各予約サイトの最新情報をご確認ください。
あると助かるアイテム
休屋から歩いて15分、杉木立の参道と石段、そして山中へ続く道。距離は短くても、街歩きの足のままで来るとつまずきます。参道が一日じゅう湿った木陰だということも含めて、選びました。
ウォーキングシューズ休屋からの徒歩15分に加えて、参道の石段と山中へ続く道があります。舗装路の靴で来ると、いちばん静かな場所でいちばん足元が気になることになります。
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虫よけスプレー杉木立の参道も、その先の山中へ続く道も、湿った木陰です。虫の多い季節にここへ来ると、いちばん静かな場所で落ち着いていられなくなります。一本あれば、立ち止まって杉を見上げる時間が守れます。
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小銭入れ(コインケース)財布を丸ごと出したくない場面が、参拝にはあります。小銭だけ分けておくと、賽銭の前で手間取らずに済みます。杉木立の静けさの中では、この数秒が意外と効きます。
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折りたたみ傘十和田湖は霧が出やすく、天気が読みにくい土地です。参道の杉はある程度雨を受け止めてくれますが、休屋との往復の15分は完全に空の下。一本あれば予定を崩さずに済みます。
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よくあるご質問(FAQ)
十和田神社の祭神はどなたですか。
日本武尊が祀られています。ただし明治の神仏分離までは、東北地方に色濃く残る水神信仰の象徴とされた社でした。竜神をかたどった手水舎に、その名残がはっきりと残っています。
十和田神社はいつ、誰が創建したのですか。
由緒はひとつに定まっておらず、2つの説が伝えられています。ひとつは大同2年(807年)に征夷大将軍・坂上田村麻呂が創建したとされる説で、東征のおり湖が荒れて渡れず、祠を建てて祈願しイカダを組んで渡ったと伝わります。もうひとつは、熊野で修行した南祖坊が鉄の草鞋と錫杖を神から授かり、百足の草鞋がこの十和田湖畔で尽きたという説で、南祖坊は八郎太郎を退治したとも伝えられます。編集部ではどちらか一方に断定していません。
占場まで降りることはできますか。
現在はできません。占場は十和田神社から山中へ150mほど入った頂きの平場から、鉄のはしごをつたって降りたところにありますが、その梯子は現在通行禁止です。降りられる前提で予定を組まないでください。
十和田神社への行き方を教えてください。
休屋バス停から徒歩15分ほどです。乙女の像に至る道程で「開運の小径」と名づけられた分岐に入ると、そのまま十和田神社の参道へ続きます。
十和田神社の参道はどのような道ですか。
整然とした杉木立に挟まれた道です。途中には竜神をかたどった手水舎があり、この社が水神信仰の象徴だった歴史を今に伝えています。山中へ続く道でもあるため、歩きやすい靴でお越しください。
十和田神社は、青森ねぶた+奥入瀬 2泊3日モデルコースの十和田湖パートに、乙女の像とセットで組み込むのが自然な流れ。八甲田、奥入瀬へ抜ける全行程の回り方はこちらでどうぞ。
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