「観光の店じゃなくて、小樽の人が普段食べてる店に行きたい」。
運河の写真は、もう何度も見た。今回の旅の主役は、この港町が育ててきた台所だ。寿司も、市場のどんぶりも、名物のB級グルメも、ぜんぶ食べて帰ろうと決めた。
寿司屋通りで、握りの一貫から
小樽に着いてまず向かったのは、花園から稲穂にかけての通り。かつて「寿司屋通り」と呼ばれ、今も名店がのれんを連ねる一帯だ。カウンターに座ると、目の前で握られた一貫が、しゃりの温度を残したまま差し出される。北の海で揚がったネタは、身がしまって甘い。地元の常連は「今日はニシンが良い」なんて大将と話しながら、静かに盃を傾けている。観光地の寿司ではなく、港町の日常の寿司が、ここにはあった。

三角市場の朝、どんぶりから湯気
翌朝は、小樽駅のすぐそばにある三角市場へ。細い通路の両側に鮮魚店がひしめき、そのいちばん奥に、朝から開いている食堂がある。頼んだのは、ウニ、イクラ、カニがぎっしりのった海鮮丼。市場で仕入れたばかりだというネタは、丼からこぼれ落ちそうなほどの盛りだった。まだ七時過ぎ、湯気の立つ味噌汁をすすっていると、仕入れを終えた市場の人たちが賑やかに朝食をとりにくる。旅の一日は、こういう朝から始めたい。

堺町通り、ランプの灯る甘い時間
昼下がりは、堺町通りをぶらぶらと。石造りやレンガの古い建物が続く道は、明治大正の面影をそのまま残している。北一硝子の三号館に入ると、百六十個以上ものランプが灯る薄暗いホールがあって、その灯の下でケーキと珈琲をいただいた。少し歩けば、洋菓子の名店が甘い香りを漂わせている。小樽は北海道でも早くから西洋の菓子文化が根づいた街だという。運河の風景だけじゃない、この街の「甘い遺産」も、旅の記憶に残しておきたい。

有名な運河より、通いたくなる一杯。
この街の味は、港とともに積み重ねた時間でできている。
小樽のソウルフード、半身揚げとあんかけ
夕方、地元の人に「小樽といえば」と聞くと、返ってきたのは寿司でも運河でもなかった。「若鶏の半身揚げと、あんかけ焼きそばだね」。さっそく地元で長く愛される食堂へ。運ばれてきたのは、鶏を半羽そのまま豪快に揚げた一皿。皮はぱりぱり、中はじゅわりと肉汁があふれる。翌日は中華食堂で、とろみのあんをまとった熱々のあんかけ焼きそば。どちらも数百円から千円台の、飾らない味だ。名の通った名物より、こういう地元の一皿こそ、いちばん記憶に残るのかもしれない。

運河に灯がともる、小樽の夜
最後の夜は、運河沿いへ。日が落ちると、石造倉庫の壁面にガス灯がともり、水面がゆらゆらと金色に揺れる。その倉庫のひとつを改装したビアホールで、小樽の地ビールをぐいと飲んだ。冷えたグラスの向こうに、レンガと石の街並みが浮かぶ。冬に訪れれば、運河沿いに無数のろうそくが並ぶ「雪あかりの路」に出会えるという。この街は、昼も夜も、そして食卓も、どこか懐かしい灯りに包まれていた。小樽は、運河の街で、そして間違いなく、うまい街だった。

マリンちゃんさあ、あなたも
味わいに行こう。
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登録不要ですぐ試せます・1日3回まで無料ここからは、はじめての小樽グルメでも迷わないための実用ガイドです。地元の人が通う名店16軒を寿司、市場・海鮮、ラーメン・粉もの、洋菓子・スイーツ、運河の夜の5カテゴリに分けて、営業時間、定休日、予算、エリアつきで紹介。実際の営業時間で組んだ食べ歩き1日モデルプラン、旅程づくりに効く定休日早見表、名物の相場、宿の料金比較まで、この1ページで小樽の食は全部わかります。
小樽に来たら、最初の一食は寿司を。花園から稲穂にかけての「寿司屋通り」界隈には、老舗から気軽な一軒まで名店が集まります。北の海の身のしまったネタが自慢で、おまかせは店により数千円から。人気店は昼夜とも予約が安心で、とくに水曜定休の店が多いので旅程づくりの前に確認を。
宝すし寿司花園★3.70372件花園の路地にたたずむ、小樽でも指折りの評価を集める寿司の名店。北海道の旬のネタを一貫ずつ丁寧に握るおまかせが看板で、大将との会話も楽しみのひとつです。昼夜ともに営業していますが、ネタやシャリの都合で早めに終わることもあるため、予約をおすすめします。
伊勢鮨寿司稲穂★3.68800件小樽駅にほど近い稲穂にある、全国の寿司好きが目指す名店。地元で揚がった魚を吟味し、握りの温度やしゃりの塩梅まで細やかに仕立てます。ネタがなくなり次第終了することもあるので、確実に味わうなら予約と早めの来店を。ミシュランにも掲載された実力店です。
おたる政寿司 本店寿司花園★3.581,048件昭和13年(1938年)創業、小樽の寿司を代表する老舗のひとつ。花園の本店は落ち着いた和の設えで、旬の北海道のネタを盛り込んだにぎりやコースが楽しめます。予算は昼のセットから夜のコースまで幅広く、記念日の一席にも使いやすい一軒。ランチは比較的入りやすい時間帯です。
魚真寿司稲穂★3.51563件稲穂の繁華街にある、鮮魚店直営で人気の寿司居酒屋。ネタの大きさとコストパフォーマンスに定評があり、地元客と観光客でいつも賑わいます。握りだけでなく刺身や一品料理も豊富で、小樽の海の幸を気取らず味わいたい夜にぴったり。日曜が定休なので注意しましょう。
小樽駅前の三角市場と、鰊漁で栄えた祝津の海。どちらにも、水揚げされた魚をどんぶりで気軽に食べさせる食堂があります。三角市場の食堂は朝7時から営業し、ほぼ無休。旅の朝食に組み込めば、一日を贅沢に始められます。
民宿 青塚食堂海鮮祝津★3.66900件おたる水族館にほど近い祝津の海沿いにある、鰊御殿の街ならではの海鮮食堂。名物は炉端で焼く魚や、旬の魚がどんとのった定食です。ホッケやニシンの塩焼き、うにやいくらの丼まで、素朴ながら食べごたえは十分。観光の合間に立ち寄れる、地元でも愛される一軒です。
北のどんぶり屋 滝波食堂海鮮丼三角市場★3.541,374件三角市場の中にある、鮮魚店直営の海鮮丼食堂。うに、いくら、かに、サーモンなど好きな具を選んで自分だけの丼を作れる「わがまま丼」が名物です。市場ならではの鮮度と盛りのよさで、朝から行列ができることも。朝7時開店なので、旅の初日の朝食にうってつけです。
市場食堂 味処たけだ海鮮丼三角市場★3.501,220件同じく三角市場にある、鮮魚仲卸が営む食堂。市場に揚がった旬の魚をふんだんに使った海鮮丼や、日替わりの焼き魚定食が評判です。滝波食堂と並ぶ市場の人気店で、迷ったら両方の丼を見比べて選ぶのも楽しみ方のひとつ。こちらも朝7時から開いています。
寿司や海鮮だけが小樽ではありません。塩ラーメン、あんかけ焼きそば、そして鶏を半羽まるごと揚げた「若鶏の半身揚げ」。数百円から千円台で味わえる、地元に根づいたソウルフードもぜひ。どれも昼が中心の営業なので、ランチやおやつに組み込むのが正解です。
らーめん みかんラーメン新富町★3.63745件小樽で高い人気を誇るラーメンの一軒。あっさりとしながらも旨みの効いたスープが評判で、昼どきは行列ができます。営業は昼のみで、スープがなくなり次第終了することも。木曜と日曜が定休なので、訪問日には注意を。並んででも食べたい、小樽ラーメンの実力店です。
若鶏時代 なると 本店鶏料理稲穂★3.522,047件小樽名物「若鶏の半身揚げ」で全国に知られる老舗。鶏を半羽まるごと揚げた一皿は、皮はぱりぱり、中はジューシー。塩とにんにくのシンプルな味つけで、骨の周りまでかぶりつくのが小樽流です。昼から夜まで通し営業で、ほぼ無休。まさに小樽のソウルフードを代表する一軒です。
中華食堂 桂苑焼きそば稲穂★3.48435件小樽のご当地グルメ「あんかけ焼きそば」の名店として知られる中華食堂。揚げた麺に、たっぷりの野菜と魚介が入った熱々のあんをかけた一皿は、どこか懐かしい味わいです。ラーメンや定食も揃い、地元に長く愛される街の食堂。昼から夕方までの営業で、木曜が定休です。
小樽は北海道でも早くから洋菓子文化が根づいた街。堺町通りのルタオ本店から、稲穂の老舗洋菓子店、北海道最古のアイスクリームパーラーまで、数百円で幸せになれる寄り道がそろっています。レトロ建築の喫茶で、旅の休憩をどうぞ。
北一ホール喫茶堺町通り★3.59927件堺町通りの北一硝子三号館にある、百六十七個の石油ランプが灯る幻想的な喫茶ホール。開店直後にランプへ一斉に火を灯す光景は必見です。ケーキや珈琲、名物のソフトクリームを、明治期の石造倉庫を利用した空間で味わえます。小樽観光のハイライトとしても外せない一軒。
アイスクリームパーラー美園アイス稲穂★3.58347件大正8年(1919年)創業と伝わる、北海道で最も古いアイスクリームパーラー。昔ながらの製法で作るシャーベットやアイスクリームは、素朴でどこか懐かしい味わいです。レトロな店内でいただく一皿は、時間がゆっくり流れるよう。火曜と水曜が定休なので、訪問日にご注意を。
あまとう 本店洋菓子稲穂★3.56434件昭和4年(1929年)創業の、小樽を代表する老舗洋菓子店。看板商品は、クッキーとアーモンドスライスで包んだ小樽銘菓「マロンコロン」。2階の喫茶コーナーでは、名物のクリームぜんざいやパフェも味わえます。おみやげ選びと甘味の休憩を、一度に済ませられる一軒です。
小樽洋菓子舗ルタオ 本店洋菓子堺町通り★3.552,606件堺町通りのメルヘン交差点に建つ、北海道みやげの定番ルタオの本店。看板の「ドゥーブルフロマージュ」は、口どけのよい二層のチーズケーキで全国的な人気を誇ります。2階のカフェではケーキセットを、塔の展望室からは街並みを一望。行列必至ですが、本店ならではの体験ができます。
小樽の夜は、運河沿いの石造倉庫で。明治期の倉庫を改装したビアホールでは、小樽で醸造した地ビールが飲めます。予算はおおむね2,000〜4,000円。ライトアップされた運河を眺めてから、レンガの空間で一杯やるのが、この街ならではの夜の過ごし方です。
小樽倉庫No.1ビール小樽運河★3.591,024件小樽運河沿いの石造倉庫を活かした、地ビール醸造所併設のビアホール。館内の釜で仕込む「小樽ビール」を、できたての鮮度で味わえます。定番のピルスナーやドンケルに合わせるのは、ソーセージやジンギスカンなどの北海道の味。運河の夜景を眺めながらの一杯は格別です。
小樽バインワイン色内★3.49292件大正期の銀行建築を活かした、小樽ワインのワインカフェ&バー。北海道産ぶどうのワインをグラスで飲み比べながら、イタリアンや道産食材の料理を楽しめます。重厚なレトロ建築の空間はデートにもぴったり。運河散策の締めに、小樽ワインで乾杯という夜もおすすめです。
※営業時間・定休日・価格は2026年7月時点の公開情報です。臨時休業や早じまい、季節による変更もあるため、訪問前に最新情報をご確認ください。「食べログで見る・予約」は食べログの各店舗ページへ移動します。ネット予約に対応していない店舗は、掲載の電話番号からご予約ください。
風景写真の一部はWikimedia Commonsのライセンス画像を使用しています: 小樽運河の夜景 (Tan Wei Liang Byorn, CC BY-SA 4.0)、堺町通り (663highland, CC BY 2.5)、三角市場 (bryan, CC BY-SA 2.0)、北一硝子 (欅, CC BY-SA 3.0)、小樽の寿司 (Syced, CC0)。店舗写真は食べログ掲載の各店舗ページより。
食べ歩き1日モデルプラン|実際の営業時間で組んだ一日
16店の営業時間をもとに、無理なく回れる一日を組みました。三角市場の朝どんぶりに始まり、運河沿いの地ビールで締める。徒歩と少しの移動で回れる、小樽の「うまい」を全部乗せした一日です。
- 7:30
滝波食堂で海鮮丼の朝三角市場は朝7時開店。好きな具を選ぶ「わがまま丼」で一日を贅沢に始める(ほぼ無休)食べログ予約 › - 10:00
小樽運河と堺町通りさんぽ石造倉庫が並ぶ運河沿いから、レトロ建築の堺町通りへ。ガラスや硝子細工の店をのぞく - 11:30
おたる政寿司 本店で寿司ランチ老舗で北海道のネタを味わう。ランチは比較的入りやすい(水曜休)食べログ予約 › - 14:00
北一ホールでランプの下のケーキ167個の石油ランプが灯る喫茶で、珈琲とソフトクリームの休憩(無休)食べログ予約 › - 15:30
ルタオ本店でドゥーブルフロマージュメルヘン交差点の本店で、口どけの二層チーズケーキ。塔からの眺めも(無休)食べログ予約 › - 17:00
なるとで若鶏の半身揚げ小樽名物のソウルフード。皮ぱりぱりの半身揚げにかぶりつく(ほぼ無休)食べログ予約 › - 19:00
小樽倉庫No.1で運河の夜と地ビールライトアップされた運河を眺めてから、石造倉庫のビアホールで小樽ビールを(無休)食べログ予約 ›
定休日早見表|水曜日だけは要注意
小樽の食べ歩きには、実は「曜日の罠」があります。とくに水曜日は寿司の名店を中心に5店が休むので、旅程づくりの前にこの表をチェックしてください。
| 月曜 | 定休の店はほぼなし。市場食堂も寿司も動いています |
|---|---|
| 火曜 | 伊勢鮨(第1〜3火曜)、アイスクリームパーラー美園 |
| 水曜 | 宝すし、伊勢鮨、おたる政寿司 本店、あまとう 本店、アイスクリームパーラー美園。寿司の名店が軒並み休み。水曜は魚真、三角市場の食堂、なるとが頼りになります |
| 木曜 | らーめん みかん、中華食堂 桂苑、あまとう 本店 |
| 金曜 | 定休の店はほぼなし |
| 土曜 | 定休の店はほぼなし。そのぶん混むので、寿司は予約、市場は早めが安心 |
| 日曜 | 魚真、らーめん みかん |
| 無休・ほぼ無休 | 民宿 青塚食堂、滝波食堂、味処たけだ、若鶏時代 なると、北一ホール、ルタオ本店、小樽倉庫No.1、小樽バイン。三角市場の食堂は元日のみ休み |
小樽の名物お品書き
店選びに迷ったら、まずは小樽の名物から。港町の海の幸と、レトロな街が育てた甘い文化が、ここには両方あります。
エリア別・小樽グルメの楽しみ方
小樽の食は、エリアごとに顔が変わります。運河と堺町通りは徒歩で、市場と祝津は少し足をのばして組み合わせるのがおすすめです。
小樽運河・色内 | 石造倉庫が並ぶ運河沿い。倉庫を改装したビアホールやレトロ建築のワインカフェが点在し、夜のライトアップも見どころです |
|---|---|
堺町通り(メルヘン交差点) | 明治大正の建物が続く観光のメインストリート。ルタオ本店や北一硝子のランプ喫茶など、スイーツと食べ歩きの宝庫です |
小樽駅前・稲穂・花園 | 寿司の名店や、なるとの半身揚げ、老舗洋菓子店が集まる街の中心。夜の飲み歩きもこのエリアが便利です |
三角市場・祝津 | 小樽駅すぐの三角市場は朝どんぶりの聖地。少し離れた祝津は鰊漁で栄えた海沿いで、水族館とセットで海鮮食堂を楽しめます |
予約・混雑・旅のコツ
- 寿司の名店は予約を:人気の寿司店は昼夜とも満席になりやすく、ネタがなくなり次第終了する店もあります。旅程が決まったら早めに電話予約を。
- 市場の朝どんぶりは早い時間に:三角市場の食堂は朝7時開店。昼前には行列や整理券配布になることもあるので、朝いちばんが狙い目です。
- 水曜定休に注意:寿司の名店を中心に水曜休みが多く、火曜や木曜にも休む店があります。定休日早見表で訪問日を確認しましょう。
- 移動は徒歩+JR・バスで:運河、堺町通り、駅前は徒歩圏。祝津方面はバスや車が便利です。札幌からJRで約40分の小樽は、札幌でレンタカーを比較して足をのばすのもおすすめです。
モデルコースに組み込むなら
観光と食を無理なく両立させるなら、市場の朝、堺町通りの昼、運河の夜という一日の型がおすすめです。小樽は札幌から日帰りもできますが、運河の夜景まで楽しむなら一泊がおすすめ。積丹半島の絶景や余市のウイスキーとあわせて、道央の旅に小樽の食べ歩きを差し込めば、景色と味の両方で忘れられない旅程になります。
小樽の宿を比較して予約する
食べ歩きの拠点は、運河や駅前の便利なエリアか、朝里川温泉などの温泉宿かで旅の性格が変わります。同じ宿でも予約サイト(OTA)ごとに料金やプラン、ポイント還元が異なるため、複数サイトを見比べてから予約するのがいちばんお得です(下記の価格は表示イメージのサンプルです)。
※TRAVEL HUBは各予約サイトの料金をまとめて比較できるメディアです。当サイト自体は予約・決済を行いません。小樽の宿をまとめて比較する
堺町通り(メルヘン交差点)
小樽駅前・稲穂・花園


