
殺生石(せっしょうせき)
草木が一本も生えない白い河原に、地面そのものが息をしている。九百年語り継がれた狐の伝説は、ここでは物語ではなく現在形だ。
このページでわかること
- 殺生石が国指定名勝である理由と、九尾の狐伝説が生まれた背景
- 2022年3月に石が二つに割れた出来事と、那須町が示した見解
- 火山ガスの状況によって立入が規制される仕組みと、訪問前に必ずすべき確認
- 編集部おすすめの過ごし方5選と、あわせて回りたい近くの見どころ
- 那須湯本エリアの宿の料金比較(楽天、じゃらん、Booking.com)
殺生石ってどんな場所?
那須湯本の温泉街を抜けた先に、風景が突然色を失う場所があります。緑の山に囲まれているのに、その一帯だけ草木がまったく育たない。白と灰色の岩が河原のように広がり、あたりには硫黄の匂いが漂っています。ここが殺生石、2014年3月18日に国の名勝に指定された一帯です。土地の名前の由来は九尾の狐の伝説にあります。帝を惑わした妖狐が那須へ逃れ、討たれて石に化し、その石が近づく生き物の命を奪った。だから殺生石。荒唐無稽な作り話に聞こえるかもしれませんが、実際にこの一帯からは硫化水素や亜硫酸ガスといった火山ガスが今も噴き出し続けています。昔の人はガスという言葉を持っていなかっただけで、起きていた現象そのものは正確に捉えていたのです。伝説は、この土地を歩いた人が体で理解したことを、物語の形で残した記録でした。木道のわきには赤い帽子をかぶった地蔵が幾体も並び、その素朴な赤が、色のない河原でひときわ鮮やかに見えます。そして2022年3月5日、その殺生石が二つに割れているのが確認されました。那須町は自然に割れた可能性が高いという見解を示しています。伝説の続きのような出来事が、令和の那須で実際に起きたのです。
フォトギャラリー




基本情報
| 名称 | 殺生石(せっしょうせき)/一帯は「賽の河原」とも呼ばれる |
|---|---|
| 所在地 | 栃木県那須郡那須町湯本207-2 |
| Googleマップ評価 | 最新の口コミ評価はGoogleマップでご確認ください口コミを見る › |
| 料金 | 無料(那須町公式に料金の設定は記載されていません) |
| 文化財指定 | 国指定名勝(2014年3月18日指定) |
| 立入について | 一帯では火山ガス(硫化水素、亜硫酸ガス)が常時噴出しており、ガスの噴出量が多いときは立入が規制される運用です。規制の有無は日によって変わるため、訪問前に那須町観光協会(0287-76-2619)または那須高原ビジターセンター(0287-74-2301)へご確認ください |
| アクセス | 那須湯本の温泉街に隣接。那須ロープウェイへ向かう県道17号(那須街道)沿い |
| 所要時間の目安 | 木道の見学路をひと回りして30分程度 |
| ベストな時間帯 | 光が斜めに入る午前中。白い岩原の陰影が出て、地蔵の赤も沈んで見えます |
行き方・駐車場
那須高原の中心部から県道17号(那須街道)を那須岳方面へ上っていくと、那須湯本の温泉街に入ります。殺生石はその温泉街のすぐそば、鹿の湯からもごく近い場所にあり、那須ロープウェイへ向かう道の途中に位置します。つまり、茶臼岳へ上る日の行きか帰りに、ほとんど寄り道なしで組み込める場所です。ただし立入の可否は当日のガスの状況次第で変わるため、着いてから引き返すことがないよう、事前の電話確認をおすすめします。車の手配がまだならレンタカーの最安値比較からどうぞ。
レンタカーは早めに予約を
殺生石は那須湯本の温泉街と那須ロープウェイを結ぶ道沿い。車があれば「立入できる日だったら寄る」という柔軟な組み方ができます。紅葉期の那須は車の需要が跳ね上がるので、宿を押さえたら続けて確保を。














季節ごとの楽しみ方
春(3〜5月)
周囲の山が芽吹きはじめても、この一帯だけは色を持ちません。緑が戻っていく山と、決して緑にならない河原。その境目がいちばんはっきり見える季節です。
夏(6〜9月)
木道のわきの草が伸び、赤い帽子の地蔵が緑に埋もれるように並びます。日陰がまったくないので、帽子と水は必須。標高がある分、下界よりは過ごしやすい時期です。
秋(10〜11月)
周囲の山が赤く染まり、白い河原との対比が一年でもっとも強くなります。那須ロープウェイの紅葉とあわせて回る人が多く、道も混み合う季節です。
冬(12〜2月)
雪の白と岩の白が溶け合い、輪郭だけが残る静かな景色に。足元は滑りやすくなるので、靴は慎重に選んでください。
編集部おすすめの過ごし方 5選

1. 色を失った風景の中に立ってみる
木道に立って、ぐるりと見回してください。周りの山は緑なのに、ここだけが白い。この違和感こそが、伝説が生まれた理由そのものです。写真より、まず自分の目で。

2. 二つに割れた石と向き合う
2022年3月5日、石が割れているのが確認されました。那須町は自然に割れた可能性が高いとしています。九百年語られてきた物語に、令和になって一行が書き足された。その一行の前に立てます。

3. 地蔵の赤を探して歩く
色のない河原で、地蔵の赤い帽子だけが目に飛び込んできます。誰かがここまで来て、被せていった赤です。この土地を恐れながらも手を合わせ続けた人たちの気配が、そこにあります。

4. 硫黄の匂いを、記憶に入れて帰る
写真には絶対に写らないものがあります。ここの匂いです。目を閉じて一度深く吸ってみてください。数年後にどこかで同じ匂いに出会ったとき、この河原が一瞬で戻ってきます。

5. 同じ火山の、上の顔にも会いに行く
ここで嗅いだ匂いの源は、上にあります。那須ロープウェイで茶臼岳へ上がれば、同じ火山が噴気を上げる姿を見下ろせる。下と上、両方を見て初めて那須の骨格がわかります。
あわせて回りたい、近くの見どころ

那須ロープウェイ・茶臼岳
殺生石のガスの源にあたる、標高1,915mの活火山。同じ道をそのまま上りつめた先にあります。ここで嗅いだ硫黄の匂いが、山の上ではもっと直接的な形で立ちのぼっています。

南ヶ丘牧場
入場も駐車も無料、年中無休の牧場。硫黄の河原から数分で、緑の牧草地に移動できます。那須という土地の振れ幅を、いちばん短い距離で体験できる組み合わせです。

那須ステンドグラス美術館
石造りの館にアンティークのステンドグラスが灯る屋内スポット。殺生石が立入規制になっていた日や、天気が崩れた日の受け皿として覚えておくと役立ちます。

那須どうぶつ王国
那須町大島にある広大な動物パーク。湯本からは少し距離があるので、殺生石と同じ日に詰め込まず、別の日に丸ごと充てるのが現実的です。
近くの人気飲食店
殺生石は那須湯本の温泉街のすぐそば。硫黄の匂いの中を歩いたあと、数分で腰を下ろせる店がそろっています。
- 🥩ステーキハウス寿楽 本店ステーキ・鉄板焼き定休:木曜(季節により変動)/¥3,000〜¥3,999/とちぎ和牛のサイコロステーキ📍Googleマップで現在地からのルートを見る
住所は那須町湯本。殺生石からもっとも近い名店といっていい一軒です。食べログ「ステーキ・鉄板焼き百名店2025」選出。とちぎ和牛のサイコロステーキが看板です。
食べログ予約 › - 🥐レストラン ペニーレイン 那須店ベーカリー・洋食無休/¥3,000〜¥3,999/朝食プレート、ビーフシチュー📍Googleマップで現在地からのルートを見る
こちらも那須町湯本。朝8時から焼きたてのパンが並ぶので、朝いちばんに殺生石を見てから朝食、という順番も組めます。食べログ「パン百名店」選出。
食べログ予約 › - ☕ナス・ショウゾウ カフェカフェ定休:第1木曜/¥1,000〜¥1,999/スコーン、チーズケーキ📍Googleマップで現在地からのルートを見る
那須高原を代表するカフェ。スコーンとコーヒーのために通う人がいる店です。食べログ「カフェ EAST 百名店 2025」選出。予約は受け付けていません。
食べログ予約 › - 🍖那須イートイット 和牛ハンバーグ・ステーキ定休:水曜/¥3,000〜¥3,999/タルタルハンバーグ(1日10食限定)📍Googleマップで現在地からのルートを見る
和牛をコース仕立てで出す店。1日10食限定のタルタルハンバーグは売り切れが早いので、事前予約が推奨されています。
食べログ予約 ›
※営業時間、定休日は季節により変動することがあります。訪問前に最新情報をご確認ください。
伝説の読み方と撮影のコツ
殺生石は、知って行くと見えるものが変わる場所です。前提を少しだけ入れてから木道に立つと、同じ河原がまったく違って見えてきます。
- 🦊九尾の狐伝説は、観察の記録だった
帝を惑わした妖狐が那須で討たれ、石に化して生き物の命を奪った。この物語の正体は、火山ガスが噴き出す土地の観察記録です。ガスという概念がなかった時代に、起きている現象を物語の形で正確に残した。そう読み替えると、伝説の解像度が一気に上がります。
現地の案内板(那須町設置の解説表示を参照) - 🪨2022年3月5日の分裂
石が二つに割れているのが確認されたのは2022年3月5日のこと。那須町は「自然に割れた可能性が高い」との見解を示しています。長く風雨とガスにさらされてきた石であることを踏まえれば、自然の帰結として理解できる出来事です。
出典確認(那須町公式サイトの掲載情報) - 📷撮るなら、緑を画面に入れる
白い河原だけを切り取ると、ただの荒れ地の写真になります。この場所の凄みは「周りは緑なのに、ここだけ白い」という対比にあるので、奥の山の緑や紅葉を必ず画面の端に入れてください。木道の直線も、構図を締める強い線になります。
現地撮影(木道の見学路から) - ☎️行く前に、電話を一本
ここは「開いているのが当たり前」の場所ではありません。ガスの噴出量によって立入が規制される運用で、その判断は日々変わります。那須町観光協会(0287-76-2619)か那須高原ビジターセンター(0287-74-2301)に当日の状況を聞いてから向かうのが、いちばん確実です。
事前確認(那須町観光協会/那須高原ビジターセンター)
このエリアの宿(料金比較)
殺生石は那須湯本の温泉街の一部といっていい距離にあります。この一帯に泊まる意味は単純で、殺生石を湧かせているのと同じ地面が、そのまま宿の湯になっているからです。昼に恐れた硫黄の匂いに、夜は肩まで浸かる。那須湯本という土地は、その落差ごと味わう場所です。

那須湯本エリア(殺生石・鹿の湯の周辺)
硫黄の湯を目当てにした滞在に※上記は表示イメージのサンプル価格です。実際の料金・プラン・空室状況は各予約サイトの最新情報をご確認ください。
あると助かるアイテム
見学は木道の上を30分ほど。日陰がまったくなく、すぐ隣が温泉街という立地です。この条件に合わせて選びました。
ウォーキングシューズ木道と岩の間を歩きます。登山靴までは要りませんが、サンダルやヒールでは足元が不安。歩き慣れた靴が正解です。
日焼け止めこの一帯には草木が育たないので、日差しを遮るものが文字どおり何一つありません。白い岩の照り返しも加わり、想像より確実に焼かれます。
保温ボトル木道の上に自販機はありません。見学は30分ほどですが、日陰なしで歩く30分は思ったより喉が渇きます。
折りたたみ傘那須の山あいは天気が変わりやすく、逃げ込む建物も木陰もありません。カバンに一本あるだけで、見学を途中で諦めずに済みます。
コインケース殺生石のすぐ近くには、那須湯本の共同浴場や売店が点在します。現金しか使えない場面が残っているエリアなので、小銭がまとまっていると身軽に動けます。
よくあるご質問(FAQ)
殺生石は現在、立ち入ることができますか。
一概にお答えできません。殺生石の一帯では火山ガスが常時噴出しており、ガスの噴出量が多いときには立入が規制される運用になっています。規制の有無は日によって変わり、当編集部が確認した時点では那須町公式・那須高原ビジターセンター公式のいずれにも現在の規制状況の記載がありませんでした。訪問前に那須町観光協会(0287-76-2619)または那須高原ビジターセンター(0287-74-2301)へ当日の状況をお問い合わせください。
殺生石の見学に料金はかかりますか。
無料です。那須町の公式情報にも料金の設定は記載されていません。木道の見学路を自由に歩くことができます。
殺生石が割れたというのは本当ですか。
本当です。2022年3月5日に石が二つに割れているのが確認されました。那須町は「自然に割れた可能性が高い」との見解を示しています。割れた石にはしめ縄が渡され、現在も祀られています。
殺生石は国の名勝に指定されていますか。
はい。2014年3月18日に国の名勝に指定されています。九尾の狐伝説の舞台としての文化的な価値と、火山活動が生んだ独特の景観の両面が評価されています。
殺生石の見学にはどれくらい時間がかかりますか。
木道の見学路をひと回りして30分程度が目安です。那須湯本の温泉街に隣接し、那須ロープウェイへ向かう道の途中にあるため、茶臼岳へ上る日の行きか帰りに無理なく組み込めます。
殺生石は、日光・那須のモデルコースでは那須ロープウェイとセットで組むのが効率的。同じ火山を下と上から見る一日になります。全行程の回り方はこちらでどうぞ。
航空券も、まとめて比較
遠方から那須へ向かうなら、羽田・成田・茨城など関東の空港着の便を横断比較。紅葉シーズンは空席が動きやすいので、早めのチェックが安心です。
















